加工事例
微細な溝加工をした医療機器用チタン部品
加工のポイント
幅100mm前後のコンパクトなチタン加工品であり、細く深い溝構造が整然と並ぶ高精度な加工が施されています。
使用材がチタンであることから、加工難易度は非常に高く、工具選定や切削条件、熱対策において熟練の技術が求められます。
本製品の最大の特徴は、正確に揃った多数の微細な溝加工です。
等間隔で配置されたこれらの溝は、幅と深さが非常に小さいため、エンドミルなどの微細工具による加工が必要となります。
特にチタンは硬く、熱伝導率が低いため、切削熱が工具側に蓄積しやすく、工具の早期摩耗やビビリ振動の発生が懸念されます。
そのため、低送り・十分な切削油による冷却を前提とした加工条件の設定が不可欠です。
加工は捨て研磨→荒加工→研磨→仕上げ加工の段階を踏むことで精度を出しています。
チタンの加工時にバリが出てしまうと除去が難しいため、長年の経験に基づいたバリの出ない切削条件の見極めが重要になります。
溝の始点と終点には、わずかに角度を変えたカーブ形状を施しています。
流体の流れを考慮し、輪郭の再現性と段差のない仕上がりを重要視しており、加工パスの最適化によって、これらの微細なデザインを正確に再現しています。
さらに、上部の左右にはネジ穴または位置決め用の貫通穴が存在し、組付けや固定治具との一体使用が想定されるため、穴位置精度や同軸度の管理が欠かせません。
表面全体にわたってムラのない美しい仕上がりが施されています。
チタンは表面の仕上げが難しいため、切削で粗さのないきれいな平面を実現しています。